誰が学校の先生になってもいじめを隠蔽する先生になる例

本記事を読む前に以下の内容をご覧ください。

○月○日、AAA中学校に通学していた中学2年生の男子生徒(14)が自宅のマンションから飛び降り、意識不明の重体になっている事が分かった。

アンケートを見た生徒の両親は「25人中24名のいじめがあるのに、学校は悪ふざけ、冗談と言ってきます。何でいじめって認めないのか理解できない」と述べた。両親によると飛び降りた男子生徒はクラスメートから悪口を言われ、無視される、涙目になっても笑い飛ばすなどのいじめがアンケートに書かれていた、と語った。

そして学校側は両親に対し、アンケートの公表しないよう強要し、両親は「隠蔽に走っているとしか思えず不信感しか抱かなかった」とも語った。これに対し、学校側は「そんな意図はありません」と隠蔽を否定した。

AAA市で自宅のマンションから飛び降りた男子学生の両親が「いじめを未然に防ぐ対応を怠った」として2000万円の賠償を市に求めていた裁判で○○裁判所は「いじめとの因果関係は確認出来ない」とした上で学校・市教委の対応に問題が無かったと両親の訴えを退けた。
裁判の結果が出た後、学生の両親からは「今までの苦労は何だったんだ」と話し、学校・市教委からは「今回の騒動に対し、遺憾の意を示す」と述べた。

上記の記事を見ると、いじめがあるのに学校は隠蔽し、最終的には裁判所もいじめを認めなかった、という形に見えます。

これを見た読者の方々も「こんな学校や判決が出るなんてありえない」と思うかもしれませんが、これは誰が学校の先生になっても隠蔽した事になる例であり、あなたがその学校の先生になっても隠蔽した事になると思います。

「なぜ学校はいじめを隠蔽するのか?」

昨今のいじめ事件においては、学校がいじめを認めてくれない、学校がいじめを隠蔽する、などいじめがあるのにいじめを認めない事例が目立ちます。

なぜ学校はいじめを隠蔽するのか?この点に関しては当然、保身や事なかれ主義によるモノもあると思われますが、一方でそれ以外の理由があり、その理由の1つとして『誰が学校の先生になっても隠蔽してしまう』背景があると見ています。

何でそんな事が起こるのか?ここでは実際、いじめを許さないと思っている学校の先生の視点で、いじめを隠蔽する事になってしまった例をストーリー形式で紹介します。

※この話はフィクションです。

いじめを隠蔽してしまった学校の先生の例

俺は小早川太郎。近年のいじめ隠蔽問題においてこの学校の隠蔽体質を変えないといけないと思い、組織の内側から変えていかないといけないと思い、学校の先生になった。

そしてやはりだが俺の教室でもいじめが起こっており、特に佐藤、鈴木、高橋の3人がミコト君をいじめてた。それ故、俺は佐藤、鈴木、高橋にいじめを注意したのだが、問題はこの3人は反省せず、更に俺の目を盗んでいじめる事を繰り返していた。

分かってはいたが、学校の長時間労働は深刻なモノで徹底的に調査したり、また再発防止として生徒を指導したいが、休み時間の間すら次の授業の準備や放課後は部活の準備などに時間を費やさなければならず、いじめに関して調べる暇がない。

だから先生の目を盗んでいじめを繰り返したり、また恥ずかしながら加害者生徒の言い分を鵜呑みにして別の生徒を加害者にして、それが原因でいじめが発生する事が起こった。おまけにいじめの中には筆記用具を隠すなど誰がやったか分からない例もあり、真相を突き止めるのは、先生ではなく生徒達になるケースが多い。

おまけにいじめ加害者を決めるのが難しい例として、例えば佐藤、鈴木、高橋にいじめの前科があっても、その他の生徒の中には報復として筆記用具を隠すなどの見えないいじめで対抗する場合がある。その場合、この佐藤、鈴木、高橋はいじめ加害者だが、一方でいじめ被害者になってしまう為、これにより正直、いじめを現行犯で見つけない限り、対応するのが難しいのが現状だ。

そんなある日、そのいじめられていたミコト君が意識不明の重体というニュースを見た。どうやら自宅のマンションから飛び降りたらしく、今、病院で療養中だと言う。

まさか俺が担任のクラスで生徒が亡くなりかけるという失態を出すとは・・・多忙を理由にいじめを認めなかったのは言い訳だ。保護者の方には当然、隠蔽などをせずに正直に話そうと思う。

「なるほど、学校でいじめがあったんですね。先生ありがとうございます。最近、学校は保身ばかりに走って隠蔽ばかりしてくるので心配していたんですけど、どうやら先生は違うみたいですね」

と、事件後、ミコト君の母親から電話があり、事の経緯を説明した。

「いえ、こちらもミコト君を悩みに気づかず申し訳ありませんでした」

「その佐藤、鈴木、高橋についてなんですけれど、具体的にどんないじめをしたのか知りたいので、生徒さんが書いてくれたアンケートを見せていただけないでしょうか?」

「分かりました、まだ調査は終わっていないので、終わり次第、お見せしたいと思います」

と言って、電話を切った。

いじめアンケートにおいてはアンケートを黒塗りにしたり、またアンケートにいじめが書かれていたのに認めないなどの隠蔽行為が目立つ。俺はそんな事をしないぞ、と小早川は保護者に対し、真摯に向き合うと決めていた。

そして生徒達のアンケートの記入が終わり、担任である俺、校長、ならびに教育委員会より派遣された山川と一緒にアンケートの中身を確認する事にした。

するとやっぱり佐藤、鈴木、高橋がミコト君に泣かせたり、そしてそれを見て笑っていた文言が多く書かれていた。

この3人は悪気がないと思っているかもしれないが、いじめは犯罪であり、人の命を奪いかけた以上、許してもらえないかもしれないが反省を促し更生出来るようサポートしていこう、と考えていた時だった。

真中ちゃんと、赤堀ちゃんがミコト君に対し、凄い険しい表情で罵っている所を見ました。それに対し、ミコト君は顔を隠して逃げていくのを見て、真中ちゃんが「男だから泣くな・・・」なんて言っているのを見ました。

え?俺は一瞬、目を疑う。真中ちゃんと言えばクラス1のマドンナ的な存在だ。しかも性格は清楚で男子生徒に人気がある。だからそんな女子生徒がいじめに加担するなんて俺はとても思えず、何かの間違いじゃ、と思った。

ただ懸念点はそれだけじゃない。

他にもドッチボールで○○君を当ててしまい、それで恨まれているとか、教室でケンカしていた事をいじめだと言い張る文言も目立つ。

一応、いじめと言えなくはないが、クラスメートの事を知っている俺からすれば些細な出来事を誇張している書き方が目立ち、学校の環境について知らない保護者が見ると、いじめと勘違いするんじゃ?と思った。

「これ・・・見せて大丈夫ですかね?」

俺はボソッと校長と山川に確認する。すると教育委員会の山川は

「言葉に気を付けてください。それでももし見せない選択肢を考えているのであれば、それは隠蔽です。

アンケートは公文書である以上、破棄する事は許されません。以前、誤解を招くという事で、無断でアンケートを捨てた先生がいたのですが、それが原因でいじめを隠蔽したと叩かれた事があります。アンケートを破棄せず、保護者への公開は絶対だと思ってください」

と言われる。

これを聞くと、今までのアンケートを破棄したり、隠したりした事例を隠蔽として見てきた認識を改めないといけないな、と考えていた時、山川より「ではマスキングをしましょう」と言われた。

え?俺は耳を疑った。

マスキングとは個人情報など書かれていたアンケートに対し、黒く塗りつぶす行為であり、要は黒塗りアンケートを作る事を意味する。

「ちょっと待ってください。それって隠蔽って言われませんか?黒塗りのアンケートって普通、こちらに不都合な情報が書かれているから黒く塗りつぶしている、と疑われるので、黒塗りにせずに渡した方が保護者からすると納得いくのではないでしょうか?」

「何を言っているんですか!さっきも言ったでしょ、これは公文書だって。

つまり個人情報など書かれている部分はいくら被害者とは言え、公開するわけにもいきませんし、一通りマスキングをした後、今度は生徒や保護者に確認し、これを公開してよいかも確認しないといけません。

場合によっては”ここの部分は後悔しないでください”と言われるので、その部分は黒塗りにするなども必要です」

俺はこれを聞いて唖然とする。

今まで黒塗りにしているのは個人情報ももちろんあると思っていたが、書いた当人が社会に公表しても良いか?の確認を踏まえてやっているのかと初めて知る。その為、いままで黒塗りアンケートを見る度に隠蔽だと思っていたけど、裏ではそんな事情があるのか?と思った。

ただ俺はもう1つ確認したい事があった。というのもいじめ事件においてはアンケートを遺族に見せるのに数か月もかかると言われている。

正直、そんなに時間がかかるといじめ加害者が口裏合わせしたり、証拠隠滅に走るなど、隠蔽を助長しかねないと思っていた。だから俺自身、このアンケート調査においては3日で終わらせましょう。と言ってみた。

「出来ると思うのですか?」

「ええ、だって許可を得るだけでしょ?だったら30名一人ずつ聞いてきますので、一人1分程度ってところですかね。今日の放課後に皆に確認して・・・」

「だから保護者の許可が必要だって言ったでしょ!つまりお子さんが書いた内容を親の許可も併せてやらないといけないから、今から電話などして予定を付けて、そしてマスキング箇所を確認する形にして行う!分かりましたか」

え?もう驚きの連続だった1人当たり1分で終わるかと思いきや、すべての生徒の聞き取りを終えるのに30日かかった。しかし問題はここからで子供が勝手に書いた内容なので後ほど確認した親が子供の勘違いだと知り『書き直せないか?』という要望が出てくる。

アンケートにおいては事実確認も必要な為、1つのアンケートを調べ終えるのに1時間もかかり学校の行事と並行して聞き取りを行い、そして全30人の聞き取りや裏を取り終わるのに4か月もかかってしまった。

「調査に4か月かかるってどういう事ですか!」

当然、直ぐお見せしますと言っておきながらいつまで経っても見せない事にミコト君の母親はいら立ち、これだといじめ加害者が証拠を隠蔽してしまうと嘆いていた。

おまけに生徒の名前に黒塗りをしており『これでどうやっていじめ加害者を訴えればいいのですか!』と民事訴訟を起こす上で訴える相手まで隠蔽した!と抗議していた。

「小早川先生、あなたは私にアンケートが終わり次第、直ぐお見せしますと言いましたよね?なのに何でこんなに時間がかかったのですか!?おまけに黒塗りまでして個人情報を盾に隠蔽工作を行うなんて人として恥ずかしいと思わないのですか!?」

「もうしわけございません。私もここまでアンケートの公開に時間がかかると思いませんでした。こちらの勝手な判断で誤解を招く事を言ってしまい、申し訳ございません」

と、隠蔽と疑われてしまい、まさか俺もいじめを隠蔽する先生として叩かれる日が来るとは、と思っていたが、だが問題はこれだけではない。

母親がアンケートを見ていると

「この『ミコト君は顔を隠して逃げていくのを見て、■■が「男だから泣くな・・・」なんて言っているのを見ました。』というアンケート、この黒塗りになっている子がいじめたからミコトは亡くなったんじゃないの?」

と言ってきて、いじめ冤罪を作り出そうとしていたのだ。

だから俺は「正直、マスキングする前の情報を見ましたけど、この子は悪い子ではありません。ですので何かしらの悪ふざけや冗談だったのでは?と私としては思っているのですが・・・」

と言ったら、母親が強い目つきでこちらを睨み、

「息子が・・・顔を隠して逃げているんですよ、なのにあんたはこの加害者が冗談で言っていると言うんですか!?悪ふざけなら子供が泣きながら逃げると思うのですか!」

と言われ、母親の怒りを買ったと思った。説得は難しいか、と考えていたのだが、実はこの日は前回とは違い、ミコト君の父親も参加している。

だから母親はこのように感情的になっているが、冷静にアンケートを見ている以上、母親の言い分に対し、制止してくれるのかな、と期待していたのだが、

私自身、小さい頃いじめにあっていたんだがね、ミコトはクラスの皆がいる前でいじめられていますよね?となると他の連中も目の前に息子がいじめに合っているのを知りながら傍観していたわけですよね?これっていじめなんじゃないんですか?

と父親は言ってきたのだ。

学校の先生がいじめを隠蔽したい理由

後日、ある週刊誌で以下のような記事が出ていた。

○月○日、AAA中学校に通学していた中学2年生の男子生徒(14)が自宅のマンションから飛び降り、意識不明の重体になっている事が分かった。

アンケートを見た生徒の両親は「25人中24名のいじめがあるのに、学校は悪ふざけ、冗談と言ってきます。何でいじめって認めないのか理解できない」と述べた。両親によると飛び降りた男子生徒はクラスメートから悪口を言われ、無視される、涙目になっても笑い飛ばすなどのいじめがアンケートに書かれていた、と語った。

そして学校側は両親に対し、アンケートの公表しないよう強要し、両親は「隠蔽に走っているとしか思えず不信感しか抱かなかった」とも語った。これに対し、学校側は「そんな意図はありません」と隠蔽を否定した。

教育委員会の山川は急遽、学校に来校し、どうしてこんな記事が出たのかと俺に迫ってきた。

事の発端はミコト君の父親がクラス全員がミコトをいじめで追い詰めたと発言し、必死に否定したのだが、聞き入れてもらえず、それどころか、なぜいじめを認めないんだ!と隠蔽を疑われるようになり、俺だけでなく、学校に対する不信感が募ったと言われた。

それどころかこのアンケートを持ち帰る、と言い出し、その際「個人情報が含まれていますので、アンケートの内容を外部に漏らされないようお願いします」と頼んだところ「お前らの保身に付き合うつもりはない!」と言われてしまった。

その後、メディアよりミコト君の両親から隠蔽を強要されたと聞いたが、その意思はあったのか?と確認の電話があり、俺は「そんな意図はありません」ときっぱり否定した。

その為、記事の内容は嘘ではないが、明らかに学校がいじめがあったにもかかわらず、いじめだと認めず、あまつさえ隠蔽を強要したかと誤解を招きかねない書き方だ。おかげで今、学校にはこの記事に関する問い合わせやクレームが相次いでいる。

山川は一通り話を聞いて、大きなため息をついた後、このように言い放つ。

「いいですか?長年、いじめに関する不祥事が多いせいで世間の人達は我々、教育機関の事を保身に入る隠蔽者の印象が強くなっています。その為、「いじめ以外の可能性がある」と言っても隠蔽だと疑われ、『いじめで亡くなったわけではない』と否定したくても本当にいじめで亡くなった可能性がある以上、否定する事は出来ません。

だからこれ以上、調査に悪影響が出ない為にも、被害者や世間への対応に対し、以下の事を注意して行動してください。

1,被害者の主張を否定する。

いじめで亡くなったと信じている保護者からすると、いじめを否定する事は隠蔽だと疑われてしまう為、保護者との信頼関係がない場合、調査中です、とか完全否定する事は避けてください。

まぁ、それでも時間稼ぎ、被害者の気持ちを置き去りにされた、と思われるかもしれませんが、否定すると説明責任が問われますので本当にいじめで亡くなったと証明出来ない以上、納得いく説明が出来ないので完全否定は避けてください」

「しかしそれだとミコト君の両親が勝手に決めた生徒をいじめ加害者としてネットやテレビに流される事になりかねませんか?もしネット上に流出してしまえばデジタルタトゥーとしてずっと残り続けて無関係な生徒が危険に晒されます」

「だから世間や保護者のヘイトを我々、学校や教育委員会に向くようにして下さい。少なからず調査中だとか、被害者の言い分に耳を傾けない、という風になると被害者の気持ちに寄り添っていないと、我々の方に意識が向き、加害者生徒の事は二の次になります。そして批判を受け続けながら、なぜ生徒が命の危険をさらしたのか?調べるようにしてください」

・・・そんな。今までのいじめ隠蔽事件を振り返ると調査中だとか、言葉を濁すような事を言って、本当にこの人達は亡くなった生徒や保護者に向き合う気があるのか?と不信感を感じていたが、子供達を危険に晒さない為だったのか?

「あと隠蔽だと思われてしまう2つ目の行動として

2,いじめ以外の原因があると疑わせる発言

まぁ、例を挙げると「学校内の出来事しか調べていないので家庭環境も調べてみましょう」とか、「お子さんのスマホの中を見せてくれませんか?」という言い方ですね。

これって被害者からすると「学校は家庭環境に問題があるかのように疑っている。いじめの真相を調べてほしいのになぜ自分達が調べられるの?」といじめられている側に原因がある、と主張しようと学校の責任転嫁、または隠蔽と保護者は捉えかねません」

「あの・・・確かに隠蔽と捉えかねないと思いますが、しかし何が原因で亡くなったのか調べる以上、学校内だけでなく、家庭内やスマホの中身を調べないと裁判とかで”学校内の出来事しか調べていない為、信憑性に欠ける”と不利になると伝えて、調べさせてもらうなんて出来ませんかね?」

「それは無理ですよ。なぜならば我々、教育機関は警察のような捜査権限を持っていない為、被害者の自宅に上がり込んだり、またスマホのロックを解除して調べたりするなどの権限はなく、また調査能力もありません。ですので結局、学校内の出来事しか調べられないのが現状です。

だから保護者から承諾を得ても、調べられないので、『頼んでおきながら自分で出来ないと言ってきた』と不信感を募らせる結果にしかなりません。

ですので教育機関である我々が出来る事は学校内でいじめがあったのか調べて、それを生徒の家族に渡して総合的に判断してもらうのが関の山です」

「・・・あの、って事はいくら家庭環境に問題があると思っていても教育機関はそれを調べる手立てがないって事なのか?だったら虐待とか、またはネットで怪しい人に絡まれて亡くなった場合、学校はどのように対処すべきなのでしょうか?」

「・・・結局、いじめで亡くなったと思わせる情報や、疑われないようにするのが一番ですかね?

一例として”加害者”という言葉を使わないでほしいのですよ。まだ調査の段階で、いじめで亡くなったとは限らないので、”加害者”という言葉は不適切なのですよ。

もし我々が加害者って言葉を使うと、被害者や世間に誤解を与えたとして、裁判で不利になりますからね。

だからもし被害者の方が「いじめ加害者の生徒は反省していますか?」と聞かれても『今回の一件で皆、心を痛めております』など濁した言葉を使ってください。

・・・嘘だろ。それって別の言い方をするといじめや加害者の存在を認めるなって事じゃないか。今までいじめがあったのだから『なぜ学校や教育委員会はいじめを認めない、加害者を保護者に教えないんだ』と思っていたけど、そうか・・・まだ調査の段階だから、いじめや加害者の存在を認めるわけにはいかないのか・・・。

「だから注意してほしい3つ目の行動ですが、

3、『調査に影響が出るので回答を差し控える』という発言

いじめ事件においてはよく『調査に影響が出るのでコメント差し控えさせていただきます』という言葉をよく聞くと思いますが、これって何でだか分かりますか?

結論から言わせていただきますと、いじめで亡くなったと思い込むのは何も被害者の保護者だけなく、子供達やその他関係者も同じなので、誤解を招かないようにしているんですよ。

例えば生徒達にアンケートを書いてもらう場合、当然、亡くなった原因についての心当たりを書いてもらいたいのですが、もしいじめで亡くなったと思い込んでいると『○○君がいじめていた』という加害行為を色々と書く事になると思います。

ただ生徒の悩みっていじめだけでなく、学業不振や恋愛だったり、いじめだけで悩んでいるわけじゃないんですね。

仮に亡くなった原因が学業不振であれば、その真相を知っている生徒にその内容を書いてほしいのですが、マスコミなどに騒がれると『いじめで亡くなったんだ。じゃあ、成績不振で亡くなったと思ったけど違うのかな?』と思って、考えが変わったり、また第三者委員会の調査で、自分の発言が本当に正しいのか疑ってしまい、表に出づらくなってしまうのですよ。

だから真相を突き止める為にも思い込みを捨てさせる必要があって、仮にマスコミやネットでいじめで亡くなったと騒がれていても『部外者が勝手に思い込んでいるだけ』と当事者達は見てくれる可能性があるのです。

ただもしこれが学校まで『いじめで亡くなった可能性がある』などと主張すると『あれ、俺の考えが間違っているのかな?』と真相が表に出ずらくなってしまいます。

それ故、マスコミとか、Youtuberが来ても『調査に影響が出るので回答を差し控える』など誤解を招く言動は慎んでください」

マジかよ・・・。今まで『回答を差し控える』という発言って責任を取りたくないが為に学校や教育委員会が説明責任を果たさない、逃げだと思っていた。

今回のいじめ事件で分かったが、亡くなった原因は当事者達の主観で決まってしまう。だから調査を行う関係上、誤解を与えないように発言を控えないといけないのか。

ただこれは別の言い方をすると隠蔽だと思われても『回答を差し控える』と発言しないといけなくて、よもや俺が今まで隠蔽だと思っていた事を真相究明の為にやる羽目になると・・・。情報の取扱いに気をつけないとな。

隠蔽だと疑われても学校がいじめを認めない背景

「・・・山川さん、今まで学校や教育委員会が隠蔽していたのは保身の為だと思っていたのですが、冤罪事件を防いだり、真相を探る為にやっていたんですね」

「本当に保身に走る人もいますが、結局のところ、隠蔽かどうかは結果論でしかないんですよ。

いじめで亡くなったと証明するには裁判で認めてもらうしか方法はないので、他の生徒を巻き込まないよう加害者生徒も守っていると『隠蔽だ』と叩かれますし、だからと言って遺族の言い分を鵜呑みにし過ぎると『冤罪だ!』になるリスクがあります。

要は裁判で判決が下されるまでの間はいじめが濃厚でも”いじめで亡くなったと決めつけている”事になるんです。

しかし被害者や世間の人達からすれば『いじめがあったのに何でいじめを認めないんだ!』と騒ぐし、『遺書に”いじめ”と書かれていたんだから認めろ!』なんて言ってきますし」

「いや、遺書に”いじめ”って書かれていたんなら、いじめを認めるべきじゃないですか?だって亡くなった生徒が書いたものですよ?」

「いえ、ややこしいのは仮に遺書に”いじめを苦に亡くなった”、”加害者の名前”が書かれていたとしても、結局、裏付けが必要なんです。遺書って遺族によってでっち上げる事が不可能ではないし、本当にその内容が正しいかどうか調べて、書かれている事が妥当で、第三者委員会や民事訴訟でいじめとの因果関係が認められて、やっといじめだと正式に認められるんですね」

「つまり裁判で確定されるまでの間、いじめと認めるな?という訳ですか?それだと裁判って判決が下るのに10年ほどかかりますし、そんなの待っていたら事件が風化してしまいますよ?」

「ええ、ですがいじめ自○というのは、亡くなった生徒の動機を証明しないといけないので、そんなの警察だってお手上げだと言われる捜査を、捜査権限を持たない学校が実施して、そして最後には遺族が犯人を決めて訴える仕組みになっているんです。

となると裁判で確定されるまでの間、遺族の主観で調査される事になりますし、要は『憶測で判断するな』と言われる案件ですけど、それを無視するといじめ加害者のやったもん勝ちになり、被害者の泣き寝入り。それは私も望むところではない。

しかしそれで冤罪事件を生まないよう『家庭環境に問題があるのでは?』などいじめ以外を示唆すると加害者寄りの対応となってしまい仮に裁判でいじめだと認められれば、その学校の態度はいじめ加害者を守る結果に繋がり、遺族が泣き寝入りする、正直、これも私が望むところではない」

「つまり10年後、裁判官が被害者の憶測をどう判断するかによって決着がつくわけですか?しかしそれですと被害者がいじめで亡くなったと主張し続ける限り、誰が学校の先生になっても、いじめを隠蔽する先生になってしまいませんか?」

「もっと言えば被害者だけでなく、マスコミなどを通じてこの事件を知っている世間の人達が訴える限りと言う形になります。

このいじめ事件でもう一つ厄介なのが仮に遺族がいじめで加害者を決める事がどれだけ難しい事なのか途中で察して諦めても、一度、世間に知らせれてしまった以上、納得いく説明をしない限り、終わりません。

つまり裁判でいじめを認めない結果になっても『裁判官は無能だ』と言って、終わりますし、またもし仮に被害者が民事訴訟を起こさない形になると、いじめによる確定はずっとされず、もう学校は永遠にいじめを隠蔽した学校と言い続けられる事になります。つまり学校の対応に非がなかったと証明するには被害者が訴えてもらうのも条件として含まれているんです。

恐ろしい言い方ですけど、つまりいじめ自○がニュースで取り上げられ、生徒の名前がネット上に出てしまうと、もしいじめではなく冤罪だった場合、学校の無罪を証明するには遺族に訴えてもらわないといけなくて、要はいじめで亡くなったと遺族に誤解させて訴訟を誘発させ、そして裁判で勝つ、など敗訴を誘導する方法を取らないと、遺族が思い付きで語った『いじめで亡くなった』という主張は沈静化されないのです」

「・・・そんな」

「更に恐ろしいのはいじめで亡くなったわけではないと社会的に裁判で認められても世間の人達は納得しない点です。

実際、判決が下されても『不当判決』としか思わず、『いじめ加害者を逃げ得させるな』とバッシングを始める要因になります。それだと名指しされた生徒はずっと叩かれる事になるので、遺族の方々にはマスコミなどに訴えてほしくないのが本音なんですけどね」

「でもそれって冤罪だった場合ですよね。学校が保身や慎重論に走っていじめで亡くなったのを見抜けなければ被害者の泣き寝入りになりますよ」

「だから本来であれば”いじめ”なのか”冤罪”なのかどっちなのか?と迷う話なんですけどね。なのにいじめがあったから”いじめで亡くなった”と安易に決めつけると大勢の生徒の人生を壊しかねない。真相を知りたい被害者の気持ちに寄り添いたいのですがリスクが高すぎる」

「・・・とりあえず話は分かりました。ただ現時点で、ミコト君が亡くなった原因は分からないので、ミコト君の両親が過度に行動しないよう注意します」

「あ、そうだ!もう1つ大事な話があります。このいじめ自○で被害者の両親が間違った判断を下さないよう見守るのも大事なのですが、生徒さん達の動向もチェックしてください。

いじめを認めない理由のもう1つの理由として冤罪事件を作らない事も1つの理由ですが、生徒間の間で『誰がいじめ加害者なのか?』と疑念を持たれ犯人捜しをされると、ここでも新たな冤罪事件を作る可能性があります。

それで勇み足で犯人が決め『命を持って罪を償え』などという話になれば新たないじめや自〇事件が起こりかねません。

またいじめだと主張する保護者側の味方にするべきか、それとも学校側の味方をすべきか?生徒や保護者間同士で対立を生むことになりますので、ここでも新たないじめ事件が出る可能性があります。

場合によっては『もしかして私が・・』と自分の言動が原因で亡くなったのでは?と勘違いする生徒が出て、罪悪感で最悪の事態で起こしかねません。

世間の連中は仮に同じ学校で立て続けに自○者が出ても『この学校は異常だ!』としか思わないし、遺族側も『もう二度と犠牲者を出さないと言っておきながら学校は何をしていた!』と言うケースになりえますので対応を誤れば更に大きな問題になりかねません。

例えばこれは学校側の管理体制に問題がある話なので、裁判で『学校の管理体制に問題あり』と判断されれば遺族のでっち上げが受け入れられる可能性だってあります。くれぐれも生徒の不安を駆り立てる、またいじめだと思わせる言い方はやめてください」

・・・難しい。要は生徒にも事件の進捗を伝えるな、という事だろ?となると、いじめで亡くなったかもというのもまずいし、更に真相を話せないから生徒に寄り添う事も出来ない。こんな状態で教師である俺は一体何が出来るんだ?

ただ少なからず思うのは隠蔽と思われても生徒は守ろう。その気持ちだけだった。

学校が隠蔽していると思われる言動とは?

その後は散々だった。

先生の中にはこの話を聞いて生徒を巻き込まないようアンケートを破棄した人が出て、ニュースに取り上げられたり、ネット上では『いじめがあるのに認めないなんておかしい』と思われ、隠蔽体質の学校とイメージダウンに繋がったり、マスコミや迷惑ユーチューバーが張り込み、生徒達を不安にさせる事も起こった。

ただ厄介だったのはミコト君が飛び降りた原因の究明だった。

当初、俺は佐藤、鈴木、高橋の3人のいじめが原因だと思っていたが、話を聞いてみると『いや、ミコト君の母親から”あの子、真中ちゃんの事好きだから応援してね”と言われたから冷やかしていただけなんだが』と言ってきて、どうもいじめだと思っていたのはミコト君の母親がこの3人に好きな女の子の事をバラされたのが原因で、いじめを誘発させたと言ってきたのだ。

「もしかして”ミコト君は顔を隠して逃げていく”って言うのは?」

「ええ、真中ちゃんにいつの間にか『私の事好きなんでしょ?』と知られてしまって、だから顔を赤くして逃げて行った話だと思うのですが」

と言われ、これはもう母親の落ち度だろ。と思った。確認の為、父親同席のもと、母親にミコト君の好きな人の事、話したのか?と確認したのだが、それを聞いた父親が

「・・・いや、もしかしたらその生徒もその女の子の事が好きで自分の女を奪おうとしているって事でいじめが起こったんじゃないか?」

「!?。そうよ、担任の先生は私が原因でいじめが起こった、なんて言っているけど、実際は嫉妬心が原因でいじめが起こったのよ。だから私が悪いんじゃなくて、この生徒が悪いのよ、騙されるところだったわ」

こいつら、いい加減にしろ、と思ったが、結局、その仮説が間違っているかどうか証拠がないので完全に説得させる事が出来ないし、あの3人が嘘をついている可能性だってある。どう証明すれば良い?

そして父親は相変わらずクラス全員がいじめに加担したと言ってきているので、これをマスコミに流し、真実を明らかにすると訴訟の準備をしてきたのだ。

つまり第三者委員会を通さず、いきなり訴えを起こすと言うのは、そうなれば更に事は大きくなり、大勢の生徒の人生を狂わせる事になる、と焦っていた時だった。

そこで同席していた教育委員会の人が

『お話の途中、失礼いたします。あのいじめで亡くなったと考えられているのですよね?でしたら当然、その生徒もこのアンケートを書いており、全く別の生徒に罪を擦り付ける事を書いていると思います。その辺についてどのようにお考えになられていますか?』

と言って、父親と母親は押し黙る。

「もし民事で訴える場合、全く関係ない生徒の名誉を傷つけたとして逆提訴される可能性があります。心苦しいかもしれませんが、ここは一旦、アンケートは参考までにとどめて、専門家でもある第三者委員会に委ねるのはどうでしょうか?」

自分達が全く関係ない生徒をいじめ加害者としてでっちあげてしまう。

このアンケートをそのまま信じ込んでしまう事は危険だ。と悟ったのか?専門家の聞き取りに任せた方が良いと考え、民事訴訟はせず、第三者委員会に判断をゆだねる事になった。

そして後日、第三者委員会が設置され、結果、『いじめは確認出来たが、いじめが原因で亡くなろうとしたとは限らない』となった。

この調査結果に対し、納得いかない両親はついに民事訴訟に踏み切る事になった。

民事訴訟も問題だが、問題はミコト君の両親とのやり取りだけに留まらない。

クラス内では佐藤、鈴木、高橋のいじめで亡くなったと言い出す生徒もいたが、当然3人は否定し、ミコト君の母親から真中ちゃんが好きな事をバラされたのが原因と反論していた。

ただそれを聞いても『嘘だ!』という人もいれば、真中ちゃんが酷い振り方をしたから亡くなったのでは?と疑うモノも出始め、いじめ加害者に真中ちゃんも浮上し、庇おうとした赤堀さんもいじめ加害者なのでは、など混乱が起きていた。

そして肝心の真中ちゃんは「もしかして私が『男なんだから泣くな・・・』って言ったから?」と自分がミコト君を追い込んだと思い込むようになり不登校になる。

その結果、佐藤、鈴木、高橋から『自分が原因だから逃げた』と責任を擦り付け、真中ちゃんの親から『命を持って償うべきか、と娘が悩んでいる」と相談された。

そして保護者の間ではクラス全員がいじめ加害者と記事にされた事で、自分達の子供を守る為『学校内での出来事で亡くなった原因を決めるのはおかしい』と言う声があがり、家やスマホなども調べるべき!と俺に訴えてきたのだが、教育機関なので権限がないと知ると落胆。

更に今回の民事訴訟により証人として出てほしいと頼まれ、ミコト君の親の味方になるべきか、学校の味方をすべきか?対立関係が保護者・生徒間で生まれるようになった。

本来なら俺自身、事態の収拾に向け、根気よく立ち回るべきだが、心が折れかけていた。

「俺はどうすれば良い?」

自宅では時折『説明責任を果たせ!隠蔽するな!』とマスコミやYoutuber?らしき人達が声をあげてくる。俺は布団をかぶり、精神的にやつれそうだったが、それ以上に生徒達の事を心配していた。

今回の事件で自分達がネット上でいじめ加害者として載るのでは?と心配し、俺に相談してくる人達が増えていた。しかし詳しい事情を話せず、逆に心配させ、中には不登校になる生徒も続出。一時期、臨時休校される事もあった。

生徒達の顔が頭に浮かぶ。

俺はこの生徒たちの中からいじめ加害者を決めないといけないのか?佐藤、鈴木、高橋・・・ごめん。俺は何も知らずにお前達の事をいじめ加害者だと決めつけた。俺が最初にいじめだと、ミコト君の母親に言わなければここまで大きくならなかったのでは?

いじめをなくしたい。その気持ちは今も変わらない。なのに今、いじめ加害者として生徒の人生を壊す決断を迫られている。本当にいじめなのか?それとも全く違うモノなのか?それを証明する方法が思いつかない。

「俺は、俺は・・・」

生徒達の人生がかかっている。子供達の将来の為に頑張らないといけない、しかし何も思いつかない。万事休すか・・・と思っていたが、ここでミコト君の意識が戻ったという知らせが入る。

当然、両親は直ぐ病院に行き、目覚めたばかりの息子の所に駆けつけた。

「ミコト!私達、あんたをいじめていた連中をあと少しでやっつける事が出来るよ。母さんたち頑張ったわよ」

本来、ありがとう、の一言が来るのかな?と母親は期待していたのだが、そんな母親の前にミコトはキョトンとした顔をして、こう言い放つ。

「え?いじめ?いや、俺はYoutuberになろうと思って、ベランダの手すりの上を歩こうとしたら、足が滑っちゃって・・・」

その後、以下のような記事が出た。

AAA市で自宅のマンションから飛び降りた男子学生の両親が「いじめを未然に防ぐ対応を怠った」として2000万円の賠償を市に求めていた裁判で○○裁判所は「いじめとの因果関係は確認出来ない」とした上で学校・市教委の対応に問題が無かったと両親の訴えを退けた。
裁判の結果が出た後、学生の両親からは「今までの苦労は何だったんだ」と話し、学校・市教委からは「今回の騒動に対し、遺憾の意を示す」と述べた。

誰が学校の先生になってもいじめを隠蔽する先生になる例【まとめ】

このフィクションのストーリーでは、教師の小早川太郎がいじめを防ごうと尽力しているが、多忙さや制度上の制約、個人情報の保護、冤罪のリスクなどにより、結果的に隠蔽と見なされる行動を取ってしまいます。これにより誰が学校の先生になっても、同じような問題に直面し、同様の対応をせざるを得なくなる現実が浮き彫りになります。

特に今回のケースでは被害者家族の方々が先生の言い分を聞かないケースを取り上げており、何でも悪い方向に捉えてしまうケースにしています。

だから学校の先生が何を言っても悪く捉えてしまい、一度いじめだと思い、そしていじめ以外の理由を受け入れる事の難しさに触れています。

それ故、いじめの隠蔽問題を解決する為には学校の対応も勿論ですが、亡くなった生徒がなぜ亡くなったのか?その証明方法が重要だと言えるでしょう。

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