この記事の要点
いじめの出来事を日記形式で残す記録テンプレート。日時、場所、子どもの言葉、保護者が見た事実、学校への連絡、次回確認日を分けて整理できます。
いじめの相談では、出来事、子どもの言葉、家庭で見えた変化、学校とのやり取りが別々の時期に出てきます。記録日記の役割は、保護者が「すべてを証明する」ことではありません。後から経過を確認し、学校や相談機関へ、何が分かり何が未確認かを共有しやすくすることです。
文部科学省の「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」は、学校・学校の設置者等が行う調査や説明、記録の扱いを示したものです。以下は行政が定めた公式様式ではなく、保護者が家庭で経過を整理するための任意のメモです。
このページのテンプレートは、紙または保護者が管理する端末へコピーして使えます。サイトへ氏名、学校名、相談内容を入力・送信する設計にはしません。
以下の記録様式は、出来事が増えたときも同じ項目で書き足せるようにしています。写真や目撃情報がなくても、テンプレートをすべて埋めることは相談を始める条件ではありません。まず安全を確認し、いじめで親が最初にすることを参考に、分かっている範囲を学校や相談先へ伝えてください。
まず守る3つの書き分け
一つの文章に混ぜず、次の3欄に分けます。
- 保護者が直接確認したこと:見た、聞いた、受け取ったこと
- 子ども本人が話したこと:できるだけ本人の言葉のまま
- 推測・未確認事項:関係がありそうだが、まだ確認できていないこと
書き分けの例
| 区分 | 記入例 |
|---|---|
| 保護者が確認 | 8月8日7時30分、玄関で泣き「学校へ行きたくない」と言った |
| 本人の言葉 | 「昨日の昼休みに『ここに来るな』と言われた」 |
| 未確認 | 発言した人、目撃者、持ち物の破損との関係は学校へ未確認 |
「Aさんが壊した」と断定する代わりに、「本人はAさんが壊したと話した。保護者は現場を見ていない」と区別します。子どもの訴えを軽く扱わず、同時に未確認情報を事実として広げないためです。
1件ごとの記録テンプレート
以下をコピーして、出来事ごとに1枚使います。分からない欄は「不明」と書き、無理に埋めません。
【記録番号】
【この記録を作成した日時】
【記録した人】保護者/本人/その他
1. 出来事があったとされる日時
年 月 日 時頃(正確でなければ「頃」「不明」)
2. 場所・場面
教室/廊下/登下校/部活動/オンライン/その他
3. 子ども本人が話した言葉
※言い換えず、可能な範囲で「 」に入れる
4. 保護者が直接確認したこと
※表情、体調、けが、持ち物、欠席など
5. 関係すると本人が話した人・見ていた可能性がある人
※未確認であることも記す。共有版では氏名を記号化する
6. 保存した資料
なし/写真/メッセージ/URL/物/医療機関の書類/その他
保存場所:
7. その時点で行った安全対応
8. 学校・相談先へ伝えた日時、相手、方法
9. 回答・決まったこと
10. 次回の確認日時と担当者
11. 推測・未確認事項
12. 後日の追記
追記日: 追記者:
学校との連絡記録テンプレート
電話、メール、面談ごとに残します。「学校が何もしていない」と評価だけを書くより、依頼、回答、期限を分けます。
【連絡日時】
【方法】電話/メール/面談/その他
【学校側の対応者・役職】
【保護者側の参加者】
【伝えた事実と本人の訴え】
【依頼した安全策】
【学校が確認すると回答したこと】
【当面実施すると回答したこと】
【まだ決まっていないこと】
【次の連絡日時・連絡者】
【資料の受け渡し】なし/あり(名称のみ)
【認識違いがあれば確認したい点】
面談後は、この欄をもとに短い確認メールを送ります。メール例はいじめを学校へ伝えるメール・面談依頼の例文で扱います。
1ページの時系列一覧
記録が増えたら、詳細とは別に一覧を作ります。
| 日付 | 出来事・変化の要約 | その日の安全対応 | 学校等への連絡 | 次の確認 |
|---|---|---|---|---|
| 8/8 | 本人が昼休みの発言を訴えた | 翌朝の登校方法を相談 | 8/9担任へメール | 8/10学校から回答予定 |
| 8/10 |
一覧には断定や感情を詰め込まず、詳細記録の番号へつなぎます。これにより、面談で全資料を最初から読み上げずに、経過を共有できます。
記録を続けるときのルール
元の記録を消さない
後で内容が変わったら、上書きせず「8月10日追記」として残します。間違いを訂正するときも、訂正日と理由を書きます。
「話した日」と「起きた日」を分ける
子どもが8月9日に、8月7日の出来事を話した場合、この二つの日付を混同しません。時刻が不明なら推測で埋めず「放課後頃」「不明」とします。
記録のために何度も聞かない
空欄を埋めるために同じ質問を繰り返すと、子どもの負担になります。家庭では安全に必要な範囲を確認し、専門的な聞き取りが必要な被害は関係機関へ相談します。
感情は別欄に書く
保護者の怒りや不安を消す必要はありません。ただし、「学校は隠蔽している」などの評価と、学校の具体的な回答を分けると、後から確認しやすくなります。
保存と共有で個人情報を守る
- 紙は鍵のかかる場所など、家族以外が不用意に見ない場所へ置く
- デジタル記録は端末のロックとバックアップを確認する
- 共有用コピーでは、関係のない氏名・連絡先を省く
- 学校へ送る前に、利用する送信方法と必要資料を確認する
- SNS、掲示板、保護者グループへ画像や氏名を投稿しない
- 公共端末や共有アカウントへ保存しない
このメモがどのように扱われるかは、状況や提出先によって異なります。証拠としての扱い、いじめの認定、学校対応の結果を保証するものではありません。資料が少ない段階でも、いじめで親が最初にすることを参考に相談を始められます。
相談に持参する最小セット
- 1ページの時系列一覧
- 今心配している安全上のこと3点以内
- 学校に確認してほしいこと
- 次回連絡日を含む希望
- 必要と言われた詳細記録や資料のコピー
資料を提出する場合は、提出先に必要な範囲を確認し、家庭には提出内容と日時が分かる控えを残します。個別資料について法的な判断が必要な場合は、弁護士などの専門家へ相談してください。
本記事は一般的な記録様式の提供であり、個別事案の法的評価、いじめ認定、医学的診断を代替しません。
一週間ごとの見直し欄を作る
日々の記録が増えたら、出来事を並べるだけでなく、一週間単位で「変わったこと」と「未解決」をまとめます。元の記録は書き換えず、別欄に要約します。
- 新しく確認できた事実
- 続いている場所・時間・接触方法
- 学校が実施した安全策と実施日
- 子どもが「助かった」「つらかった」と話した点
- 学校から未回答の事項
- 次の七日間で確認する一項目
- 次回連絡日と担当者
要約には結論を急いで書かず、「○件起きた」「○日から連絡が止まっている」のように、元記録へ戻れる表現を使います。学校へ共有するときは、全記録を無条件に送るのではなく、今回の相談に必要な期間と項目を選び、提出した範囲を記録してください。
情報確認日:
情報源
- 文部科学省「いじめ防止対策推進法」
- 文部科学省「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン(令和6年8月改訂)」
- 文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」
- 警察庁「都道府県警察の少年相談窓口」
- 厚生労働省「『消えてしまいたい』と考えるとき」
確認日:2026年8月27日